夜の街で働く親の生活実態調査@岡山市

特定非営利活動法人岡山NPOセンター事業フェローの井上正貴様より、夜の街で働く親の生活実態調査を行った報告を頂きましたので、様々な繁華街に関わる方のお役に立てるよう、調査内容を共有させて頂きます。

夜の街で働く親の生活実態調査@岡山市

特定非営利活動法人岡山NPOセンターでは、昨年12月21日から本年1月31日まで51日間、調査チームを設け「コロナ禍緊急アンケート!夜の街で働く親の生活実態調査(岡山市版)」を行いました。

アンケートの対象は、岡山市内の夜の街で働く親、ならびに養育者の方。 回答者数は65 名。内訳は社交飲食業52名、ガールズバーなど接客業6名、性風俗業6名、その他(夜間の福祉業とみられる方)1名となりました。

コロナの影響(困りごとや不安に思うこと)が「すごくあった」と回答したのは78%。「少しあった」と回答した17%を合計すると 全体の95%に影響があったことが分かります。困りごとの中身は「仕事がなくなった、少なくなって減収入…92%」「支出が増えて、家計が苦しくなった…60%」「学校や園の休校や外出自粛で大人/こどものストレスが高まった…39%ずつ」と続きます。

必要としている支援は、仕事の相談(ダブルワーク、アルバイト先)、住居手配/家賃補助 、食糧、生活品などのニーズが高く、子どもの学習支援や体験支援(遊び、運動、習い事など)、託児/一時預かりなどもそれに続いています。さらに、困りごとに対して「頼れる人がいない」… 15 名 恋人や夫から暴力を振るわれることは「ある」… 7 名など、孤立を深める夜の街の親の現状が浮き彫りになりました。

このアンケートが生まれるきっかけには「最も過酷な状況で暮らす親と子はどのような状況で生きているのか?」という問いがあり、それはだれ一人取り残さないというSDGsのメッセージにも通じます。

それらを踏まえ、夜の街の調査チームでは「ファイナンシャルプランナーによる長期的な人生設計に基づくアドバイス」「生活保護には至らないが減収入した世帯のための住まいの提供」「DV被害者支援、シェルター機能の整備」「既存の取り組みや制度の見える化」を目標に今後の支援策を打ち出しました。

2021年度はすでに「支援モデル事業開発とネットワーク拡大事業」を展開しており、情報提供だけに留まらず,寄り添った支援を実現できる拠点として、倉敷市の「ハルハウス」で支援モデルの開発に着手。食品等をお渡しするフードシェア会、ひとり親世帯を招いての食事会を実施しました。

岡山NPOセンターでは、岡山県全体の子どもや親への支援を充実させるためKOTOMO基金を創設。寄付を受け付けています。

●プロフィール


特定非営利活動法人岡山NPOセンター事業フェロー

井上正貴
(いのうえ まさき)

子ども支援基金「KOTOMO基金」創設のご案内
http://www.npokayama.org/kotomofund/
 
1982年倉敷市生まれ。趣味は料理や音楽を聴くこと。岡山における子どもの虐待・貧困ゼロを目指すプロジェクトに携わりKOTOMO基金の創設や市民のアライアンス(連携の枠組み作りのために活動中。